「つくづく、嫌な双子だ」
「一度失敗したからな」

ヘイムダルは少し辛そうに立ち上がると言った。

「違う。失敗はしていなかった。失敗といえば、ルーンが早く目覚めたことだ」

失敗していたら、今の自分はない。
ああ。とっととこの村を去ればよかった。

「双子の狙いは、ヴァングの出現、と考えられる」
「だが、おかしい。消したいなら、村人のように消せばいい」
「まさか」
「馬鹿な。あの双子だぞ?」
「だとしても」

「あたり」


扉が開いた。銀の瞳、髪、まっ白な肌。白の衣を羽織った自分と同じくらいの男の子が
入って来た。
ヘイムダルの表情が曇る。

「僕は『弥魔日 朔』。卑御汰と卑御手の弟」
「生の権利者か……」

ヘイムダルが呟いた。

「ヴァングは姉さん達がもう潰したよ。姉さん達の狙いは時計の時をなくすことだ。
ほんとうは此処でルジに『シルバー』を発動させたかった、と姉さん達が言っていたよ」
「何……?」

あの双子は、ほんとうに 何を考えている