この世界は 歌
日は紅く
月は青く
現と夢の中
詩が歌われ
世を支配す
「「待ち望んだ せかい」」
────────
「大丈夫ですか? こんなところで寝ていては、危ないですよ」
──ルナーク領域内
随分、気を失っていたようだ。
銀の銃はなかった。残っているのは懐中時計のみ。ミールちゃんもヘイムダルも村の姿もない。
目を開けると 刀を持った女性が視界に映った。
「よかった。貴方、属性は? 王は誰です? もし、“ルナーク”の敵組織“ラジマ”だったら
殺されますよ?」
「……?」
僕は起き上がると、あたりを見回した。
広がる草原、青い空。日は地を照らし、風は大地を揺らす。
「リミナ! その者は何だ!」
「あっ。貴方!」
“リミナ”と呼ばれた女性は僕を掴み言った。
「いいですか? 属性を聞かれたら“G”と答え、もし王は誰だと聞かれたら“スヒター”と
答えてください。いいですね?」
「……はい」
今はこのひとに頼ったほうがよさそうだ。