「リミナ、何かぬけていないか?」

と、ルナークが自分を自慢するように言った。
リミナは小さくため息をつきどうでもいい、という風に言った。

「ぬけていませんが。何か?」
「主に歯向かうか」
「私は貴方を一度でも主と思ったことはありません。そもそも、貴方は何の力もない。
崇めるには、崇められるだけのチカラがなければ」

おいおい。さっき様づけで呼んでたのは誰だよ。
というより、リミナ 最初に会った時より性格変わってないか?

一触即発状態だ。

「まぁいい。続けなさい」
「……はい。すまなかったな。ルジ。
ひとの発する“コトバ”にはチカラがあるというのは昔から言い伝えられてきたことだ。
それに、今までひとは気づかなかった。カナリアが歌うその時まで。
好きと発するのも、愛を伝えるのも、悲しみを伝えるのも、怒りを伝えるのも全て“コトバ”がある
からこそ、できることなのにな」

ルナークをちらりと見ると、少し苛立っているようにみえた。
こんなことどうでもいい、というような目つきだ。

「歌には、属性がある。全部で五つ。
『G(ギメル)』、『Z(ザイン)』、『S(サメフ)』、『L(ラメッド)』。そして、一番希少と言われる──
『O(アイン)』。因みに私は“G”だ。ルナーク……様は一番弱い『L』だ」
冷たく、リミナは言った。
嫌な性格だなぁ。

「属性は何か意味があるのですか?」
「そのものを現すと言われている。何にも言えることだが、この世界のことや歌、属性、カナリア
についてはよく分かっていない。そもそも、この“世界”はずっと眠っていたのでは、という意見が
ある」

眠っていた……? よくわからない。が、この世界はどうも面倒だ。

カナリアが歌った『創世の歌』から全てが始まり、ひとが『歌』というチカラを見つけ
属性を見つけた。

誰だ──? 誰が歌というチカラをみつけた?

「歌というチカラを見つけたのは『弥魔日 卑御汰』と『弥魔日 卑御手』だ」

え──?