ない。どこにもない。

アレが。 何処だ? 何故、気配を感じない?

何処にある。


『アイツの中にあるよ。朔』


闇から声。ふと振り返るとそこには、姉さん達が死の権利を譲った男

──狼 妖 がそこにいた。
不気味に笑うその表情は姉さん達とはまた別の妖しさと畏怖の念を感じる。

「アイツ等は利口だよ」

目的のためだったら、何も厭わない。それが姉さん達の恐ろしいところだ。

目的のために、死を創生し、世界を壊し、カナリアを目覚めさせ、この世界のチカラ

術を手に入れようとしている。

「妖さんはどうするんですか?」
「静かな傍観者、を装っているよ」

このひとも、姉さん達と同じだな。
何を考えているのか分からない。
静かに爪を研ぐ、死神達


「僕も 始めるとするよ」

僕は術になんか興味はない。

 

手に入れるべきは鍵