「えーっと、んでテメェは何もんだ?」

敵を見るような目つきで僕を見る。

「僕の名前はルジ。野原で倒れていたところを、リミナさんに助けてもらいました」

助ける、とは違うような気がしたが そのほうがいいだろう。
マロニエは眉をひそめた。

「リミナ、コイツは何ものなんだ?」
「ルジが言った通りだ。しかし、コイツ 『この世界』創生前を知り、前の世界の崩壊の切欠が
ルジだそうだ」

言っちゃったよ。このひと。マロニエは驚くこともなく、冷静に言う。
やはり この男は──

「お前、ちがうな」
「貴方も、ね」

この男は──創られたものだ。
静かな重苦しい沈黙が続く。

沈黙を破ったのは、リミナだった。

「私は邪魔なようだな。失礼する」

リミナはマロニエに何か言って、荒々しく出て行った。
勘のいい人だと思っていたが、そうでもないようだ。

「お前、気づいたのか?」
「ええ。貴方は創られたものだ」

と僕が言うとマロニエは焦ることもなく、微笑した。
先ほどの陽気さは何処へ行った、とでも言うような悪寒ににた気。

「何故気づいた」
「名前を聞いた時からおかしいと思っていた」

マロニエがほう、と相槌をうつ。

「貴方の名前は花の名前。意味がある名前は、そのものがその道を歩むように創られた
タマシイ」

マロニエは不気味な笑みを浮かべた。似ている──双子と。

双子に兄はいない。弟が一人いるだけだ。

「オレは、お前の味方でもねぇし双子の味方でもねぇよ」