「何故 双子のことを──?」

間を置いてマロニエは言った。
時が長く感じる。

「聞いたからな。全て」

「誰から」


すると、マロニエは小さくため息をつき 言った。

「お前達は、不思議だな。何故、死ななかった。何故、彼女は銃になった。
何故、ラグナロクを繰り返す旅をしていた?」

部屋の空気が異常に冷たく感じた。
息を吸う音も、足音ひとつも今はとても大きく感じる。

何故? 何故だ。この男は何故、こんなことを 聞く?

「『恐ろしい』か? ルジ」


双子にそっくりな笑みを浮かべるマロニエ。

一番恐ろしいものは、『ひとのコトバ』

「何もかも面倒だ」
「は?」

間の抜けた声がマロニエはから漏れる。

「僕は、双子をころすことは目的ではないし、術には興味はない。
ただ、カナリアと僕の邪魔をするのなら そいつを排除するだけだ。
僕がやらないことは、きっと 他の誰かがやってくれるよ」

「へぇ……」

この男は、全部知っているんだ。
きっと、教えてのは姫裏だ。その裏はおそらく 狼 妖。
狼家の長男か。