悪夢ってこういうことかなぁ。
あのさ、僕男なんだよ。
十八で身長百五十六ぐらいしかないってさ、小さいけどさぁ。

女のひとに見下ろされてるけどさぁ。

これはないでしょ。

「ルジは何着ても可愛いわねー」

アンティーク人形が着ていそうな服を何故か僕は着せられている。

「あの、これ何か関係あるんですか?」
「いいえ。アタシの趣味よ」

この婆。

「婆じゃないわよ。私はまだ二十七よ」

暫くは、このひとの趣味に付き合うことになりそうだ。

さっきの、僕じゃないってどういうことなんだ?
僕は、……ただ、自惚れていただけなのか?

カナリアは、アチラのほうがよかったのか?

『あの時』、『僕』は カナリアを

助けたかっただけなのに。

「それが違うんだよ。バーカ」

周りが暗くなり、ポツポツと光が灯る。
目の前には、僕にそっくりな男。
僕の服は元に戻っていた。……よかった。

「テメェは勘違いしすぎなんだよ。最初のせかいも今のせかいも全てオレがあってたから、お前が
あるんだよ」
「お前がラグナロクを出た時はそんなに、喋れたのか?」
「このせかいはカナリアのものだ。オレにゃ神のご加護っつーもんがあるんだよ」

喋り方が大分違う。

「今、お前はどこにいる」
「このせかいにいる。何処にいるかは、自分で探せ。ま、ルナークのとこにいりゃ、そのうち見つかる」

じゃあな、と男は言って消えた。真っ暗だったが、ヴィーラの部屋に戻っていた。服も。
さっきのは──ルーンだ。