「ルジ、さん! 何処に行くんですかっ!?」
ミールちゃんがこけた。
何処に行く、と言われても決められた時期にあるところに行く。
だけだから、それ以外は何も目的はない。
とりあえず、僕はミールちゃんに手をさしのべさぁ、と答えておいた。
風が木々を揺らし、木々は風に答えるように葉を鳴らす。
「わっ、ルジさんこれ何色ですか?」
ミールちゃんが、弾んだ声で木の葉を指差し言った。
生まれた時から白、しか見ていないらしい。
「みどり色。それよりちょっと薄いのがきみどり色って言うんだよ」
「じゃあ、これは?」
今度は地面を指差した。
やっぱり、連れてこなければよかった。
こんな基本的なことまで教えないといけないのか。
「わっ」
驚きとは違う声をミールちゃんはあげた。
「どうしたの?」
「これ……」
五日村、と錆びれた看板がたててあった。
門の向こうは家の残骸、ひび割れた地面、すすり泣く村人。
酷いありさまだ。
その光景にミールちゃんは声がでないようだ。
僕たちは、村に入った。
ミールちゃんは僕のコートのすそをずっと握っている。
「どうしたのですか?」
僕は子供を抱いている女の人に話し掛けた。
話し掛けると、女の人は強く子供を抱きしめた。
「ヴァング、のひとですか!?」
女性とは思えない剣幕で、言った。
「……いいえ。此処は何故こんなことに?」
女性はかみ締めるように言った。
「ヴァングが、“自然兵器”を完成させたのです……!」
「まさか」
まさか。そんなことができるわけがない。