「ルジさん自然兵器って何ですか……?」

ミールちゃんが僕の後ろから尋ねた。

「そのままだよ。好きなところに地震、竜巻、台風その他自然現象をおこすことができる。
その強さも自在だろう。それだけでも最強。相手は見えない処から眺めているだけでいい。
だから、相手を倒すことも近づくことも難しい」

女性は僕がすらすらと喋るのを呆然と見ていた。

「やっぱりあんたは……ヴァング……!」
「……違います。そもそも、ヴァングとは何ですか?」

女性は少し間をおいて答えた。

「つい最近できた、組織。此処はもともとアーシュリーという組織が治めていた。平和、だった」
「アーシュリー、ヴァング……成る程」

やっぱり。なら、長いは無用。関わりたくない。可哀想だけど。
僕はありがとうございました、と言って去ろうとした。
だが、女性は僕の足を強く掴んだ。

「あんた、そんだけ知ってて何故助けようとしない!」
「僕には関係はありません。此処まで、滅びいると僕も戻しようがない」
「あんた時間を戻せるのかい!?」

困った癖だよ。まったく。困っているひとを放ってはおけない。
それが時に破壊をうみだそうとも。
僕は鞄から、懐中時計を取り出した。
そして、開けると女性に見せた。

『Time quantity 五時二十八分』

「時間量……?」
「この時計に刻まれている時間は今、『五時間二十八分』ということです」
「それで?」

女性は強きに聞いてくる。

「つまり、コレはあと『五時間二十八分』、“時”を戻せるということです。
たった五時間じゃ此処は戻らない。だからやっても無駄」

僕はパチンと閉めた。

「なら! 戻して欲しいひとがいる」

嫌だ。嫌だ。

こんな癖。

「誰ですか?」

自分が莫迦みたいだ。